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メタバース

2023年02月04日

 PC555管理者 at 10:23 | Comments(0) | SFショートショート
全国初!鳥取県がメタバース課を立ち上げ 何する部署?(鳥取県)

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*これは、ちょっと未来のあるかもしれない、お話です。フィクションです。

今日は、おばあちゃんに会う日だ。
タロウは、メガネをかけると、目の前に草原が広がった。
草原の小高い丘に桜の木が立っていて、風にのって花びらがこっちまで飛んできている。

映像だけなのだが、すがすがしい香りも感じられるようだ。
眼鏡をかけたすぐは、バーチャル空間に入りたてなので、歩いたり触ったりはしないが、時間たって夢中になると思わず歩いたり、手を振ったりして部屋のものにぶつかって危なかった。
最近は、バーチャル眼鏡をかける前は、部屋をかたづけてからやるようにしている。

丘の上にのぼるにつれて、桜の木の下にシートが敷かれて、そのシートに座って、おばあちゃんが手を振っている姿がみえてきた。
「大きくなったねえ」
微笑むおばあちゃんはいつも優しい。

シートに座る、おばあちゃんの周りには重箱が広げられ、タロウの大好きなエビフライもあった。
「天気いいね」
タロウはシートに腰を下ろした。

「どうだい学校は? 好きな子はできたかい?」
久しぶりに会うおばあちゃんと、学校の近況を話した。
気が付くと、菜の花がいっぱい咲いて、モンシロチョウがヒラヒラと舞っている。

好物が目の前にあるのに、食べられないのが残念だ。
ひとしきり近況を話すと、本当にお腹がすいてきた。
「じゃ、また1か月後に会おうね」

眼鏡をはずすと、窓に雨が打ち付けていた。
知らない間に、結構大雨になっていた。
梅雨のじめじめした空気に気づかされた。

リビングに降りると、母親が昼食の準備をしていた。
「あら、おわったのボランティア」
「ああ、うん。 今日は元気そうだったよ」

「おばあちゃん、北海道だってね。ホームでさびしいでしょうに」
「うん。本当の孫みたいに喜んでくれるよ。僕も本当のおばあちゃんみたいで、気が晴れるよ」
「いいおばあちゃんでよかったわね。」

タロウが生まれる前に、タロウの本当のおばあちゃんはなくなっていた。
ボランティア授業の一環で、子供と老人ホームの老人とメタバースでの会話のプログラムが行われていた。
九州に住むタロウと、北海道の老人人ホームのおばあさんが出会ったのは、今年の1月だった。

おばあちゃん、いつまでも元気だといいなあ。
母親のつくったエビフライを食べながら、タロウは思った。

*これは、ちょっと未来のあるかもしれない、お話です。フィクションです。

メタバース




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